2015.09.15 Tuesday
故郷に寄する歌 新潟ライブツアー
「ふるさとは語ることなし」新潟市内護国神社の近く寄居浜にある石
碑に刻まれた坂口安吾の言葉である。
昨年秋の新潟県三条市5ヶ所でのライブツアーの縁で、今年も新潟ライ
ブツアーを行う。11月には、私の生地加茂市で初めてのライブだ。
加茂を旅立った18歳のときから、40年が経った。ひとしお感慨深いラ
イブになるだろう。
1枚目のCDアルバム『唄いそびれた夜をさがしに』のライナーノーツの
中に、フォークシンガーで、詩人、画家、エッセイストでもある友川カズ
キさんが、次のような文章を添えている。
藤本君も、もちろん読んでいると思うが、安吾の作品の中でもっ
とも私の好きな作品に『ふるさとに寄する讃歌』というのがある。
その冒頭は、「夢の総量は空気である」と始まる、何とも表現者
の痛苦とアイロニーに満ちた一行でなるのだが、今回藤本君のCDの
中にも『わが故郷』という歌があり、その最後に「風は冷たく青い空、
今は壊れた心のゆりかご、わが故郷」という語句を見つけ、ああ、と
思ってしまった。
何かを表現しようとした時、故郷はその根の皮膜であり、また壁
でもある。
胸奥のすみっこに葬り去るしかない、丸い牙であり、つんのめっ
た小さなヒントでしかないのである。
しばらくライブで歌っていなかった「わが故郷」も含め、故郷に寄する
歌を歌いに行きたいと思う。