藤本すすむブログ「100万回生きたねこ」

故郷に寄する歌  新潟ライブツアー

  
 「ふるさとは語ることなし」新潟市内護国神社の近く寄居浜にある石
碑に刻まれた坂口安吾の言葉である。

 昨年秋の新潟県三条市5ヶ所でのライブツアーの縁で、今年も新潟ライ
ブツアーを行う。11月には、私の生地加茂市で初めてのライブだ。
 加茂を旅立った18歳のときから、40年が経った。ひとしお感慨深いラ
イブになるだろう。

 1枚目のCDアルバム『唄いそびれた夜をさがしに』のライナーノーツの
中に、フォークシンガーで、詩人、画家、エッセイストでもある友川カズ
キさんが、次のような文章を添えている。

    藤本君も、もちろん読んでいると思うが、安吾の作品の中でもっ
   とも私の好きな作品に『ふるさとに寄する讃歌』というのがある。
    その冒頭は、「夢の総量は空気である」と始まる、何とも表現者
   の痛苦とアイロニーに満ちた一行でなるのだが、今回藤本君のCDの
   中にも『わが故郷』という歌があり、その最後に「風は冷たく青い空、
   今は壊れた心のゆりかご、わが故郷」という語句を見つけ、ああ、と
   思ってしまった。
    何かを表現しようとした時、故郷はその根の皮膜であり、また壁
   でもある。
    胸奥のすみっこに葬り去るしかない、丸い牙であり、つんのめっ
   た小さなヒントでしかないのである。

 しばらくライブで歌っていなかった「わが故郷」も含め、故郷に寄する
歌を歌いに行きたいと思う。


 
| - | 15:01 | comments(0) | trackbacks(0)
9月の句会  月を見てホモサピエンスが立っている


 六十の手習いで、昨年12月より、毎月第二又は第三日曜日に、「ほんやら
なまず句会」という俳句の会に参加している。

 参加者は、兼題(あらかじめ与えられたテーマ)により作った俳句を5〜6句
提出し、無記名でアットランダムに並べられた俳句から、それぞれが特選句1句、
並選句5句を読み上げる。そして最後に全ての句をひとつひとつ読み上げながら
作者が名乗り出るといやり方だ。最後にして、句と作者が一致し「なるほど」
「やっぱり」などの声が上がる。

 俳句暦20年前後のベテラン選手もいらっしゃる中で、私は一番の駆け出しであ
る。30歳半ばころ、ある短歌会に一時所属し、歌会にも参加していたこともある
が、俳句の世界はまたそれなりに難しい。
 俳句も毎日こつこつ作っていこうと思いつつ、句会の前日や当日になってやっと
纏め上げているのが現状で、句会は、他の方がどんな句を作っているのだろうかと
いう鑑賞の時間として集中するようにしている。

 自分の作った句が選ばれるということは、単純に嬉しいもので、人生経験や感性
のそれぞれ異なる人達に、十七文字で何が伝えられるかの修行の場である。

 今日の提出俳句 兼題は「ヒト」「風」「秋」  
  ◎特選句 ○並選句  ◎○の数は選んだ人の数

                 源求馬(私の俳号)

   月を見てホモサピエンスが立っている  ◎○

   秋風や眠る母に嘘つきとおす      ○○○

   考える葡萄となって種を吐く      ○○

   秋雨に濡れてデモする母子の声     ○

   風の靴履いて秋空遍路かな       ○

   秋刀魚焦げ擬人法なら何の比喩

 句会の会場は国立の「Catfish」という喫茶店で、1週間ほど前に新しい看板ができた。
句会が終わり帰る秋の夕暮れ、煌煌とした新しい明かりの中に、小さななまずが泳いで
いた。
 
| - | 22:25 | comments(1) | trackbacks(0)
四谷コタン  送別ライブ2 遍路旅



 前回に続き、送別ライブとなった。1年間の留学生活を終え、もうじき母国
に帰国するトルコのAさんとインドのHさんに送別の意を込めてのステージ。

 「日本が好きになりましたか?」とステージから質問すると、Aさんから「来
る前から好きです!」と声高に返答があった。大学で勉強する時間があったのか
と思うほど、日本を、東京を駆け回っていた写真がフェイスブックにアップされ
ていた。
 Aさんは来日したときから会うたびに、四国のお遍路と東海道の歩き旅をした
いと語っていたが、時間の都合で決行できず、それが心残りのひとつという。
 「星のように月のように」「サフランボル」「アンタルヤ」などのトルコに因
む歌に続き、昨夜完成したばかりの「遍路旅」を送別の歌としてプレゼントした。



 2004年から3年かけて四国八十八箇所の札所を巡った時のことを思い出し、
一気に書き上げた。Aさんも、また近いうちに日本に来て、遍路旅をすること
だろう。       


 
| - | 19:34 | comments(0) | trackbacks(0)
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