2011.09.27 Tuesday
盲目の秋
今日の朝日新聞夕刊の「文芸批評」(白石明彦氏)の中原中也の写真が目に
留まった。
風が立ち、波が騒ぎ
無限の前に腕を振る
・・・中原中也の詩の言葉が、東日本大震災を目のあたりにした詩人たちの
心をつかんでいる・・・
こんな出だしで、詩人佐々木幹朗氏と辺見庸氏の中也の詩に救われたこと、
震災と無力な言葉の問題を評していた。
「・・・そんな生々しい人生の物語は昇華され、静けさをたたえた永遠の喪失感
が、3.11を経た人の心をやさしくつつむのだろう。詩の力は不思議だ。」
20代中頃から私は中也の詩が好きだった。中でも好きなのがこの「盲目の秋」。
酒場で詩の話になったりすると、「一番好きな詩だな」と暗唱している冒頭部分を
語ったものである。
盲目の秋
中原中也
風が立ち、波が騒ぎ
無限の前に腕を振る
その間、小さな紅の花が見えはするが、
それもやがては潰れてしまふ。
風が立ち、波が騒ぎ
無限の前に腕を振る
・・・・・・・
私の青春はもはや堅い血管となり、
その中を曼珠沙華と夕日とがゆきすぎる。
・・・・・・・・
これがどうならうと、あれがどうならうと
そんなことはどうでもいいのだ。
これがどういふことであらうと、それがどういふことであろうと、
そんなことはなほさらどうだっていいのだ。
人には自恃があればよい!
その余はすべてなるままだ・・・・
自恃だ、自恃だ、自恃だ、自恃だ、
ただそれだけが人の行いを罪としない。
・・・・・・・