藤本すすむブログ「100万回生きたねこ」

みちのくからの手紙    残雪の・・・

                     【Kさんの俳句と書】

     残雪の炙り魚を目から喰ふ

 青森県三戸町にお住いのKさんから手紙が届いた。達筆な万年筆の文字を
原稿用紙3枚にしたため、筆書きの俳句と俳句誌「青嶺」が添えられていた。

 昨年10月のトルコのアンタルヤとマルマリスの旅でご一緒した kさんとは、
なぜか気が合い、移動の時間などちょっとした時間や、食事の時によく話した。
俳句の話や、若い頃のアメリカ放浪の話は興味深かった。
 ご一緒だった奥さんは、昔話の朗読をし、卓球も青森県代表選手としてやっ
てきた人で、話が合わないはずがない。私は、何よりご夫妻のお人柄に、また
会いたい人だなと思いながら旅を楽しんでいた。

 「りんごの花の咲くころ、青森に行きたいです」・・・年賀状に、そう添えた。
  

「三戸は残雪も多く、加えて地震に驚かされ大変なここ一週間でしたが、電気も
つき落ち着きを取り戻しました。・・・・」
 三戸は内陸だから津波の被害はなかっただろうが、余震が続くなどの現状で
は、りんごの花咲く5月に三戸を訪ねるのは難しいだろうと断念していた。

「今、藤本さんの唄を聞きながら盃を持ち書いております。みちのくの春は一気
にやって来、梅・桃・プラム・さくらんぼ・りんごと咲きますが、その季節に三戸を
訪ねてください。・・・」

 「越後の春は花盛り 踊る台地に風が吹 く(越後望郷)・・・を体内に浸み込ませ
ながらアルコールとカクテルし、よい気分になり
  残雪の炙り魚を目から喰ふ
を作り、魚の骨をかじっております」 ・・・と手紙は続く。

 宮古市田老地区に住む学生時代の友人O君の安否をずっと心配していたが、
命は無事で避難所暮らしという知らせをようやく得ることができた。しかし、お兄
さんの奥さんとお孫さんが津波に呑み込まれ亡くなったという痛々しい知らせに
言葉もない。
 山形市に住む妹から「家族みんな無事」のメールが届いたが、山形新幹線は
まだ不通のままである。

 国立の桜祭りも、春の卓球大会も中止になった。福島原発事故の報道に不安
感が高まり、計画停電が予定されたりでなんとなく落ち着かない日々である。
 桜前線情報をテレビでは流さなくなったからか、冷たい風が吹く昨今、命芽吹
く春をまだ感じない今年の早春である。

    桜遊行 春を見舞いに みちのくへ


 
 
| - | 00:58 | comments(0) | trackbacks(0)
四谷コタンLIVE 3.18 哀しき青春譜

                                 〈大学時代のコンサート〉 

 千年に一度といわれる東北関東大震災からちょうど一週間。余震が日に幾度か
ある中、テレビでは避難所の様子、福島原発の影響などが報じられ、自分の生活
にも計画停電、買占めによる食糧・物不足の影響が出ている。

 第3グループに属する私の地域では、18日は午後から停電。四谷コタンへ行く準
備を済ませ、うす暗い部屋の中で、ギターをポロンポロン弾いていた。前日夜の停電
中は、机の上にろうそくを3本立て灯りにし、書き物をしていた。ついでにラベンダーの
お香を焚いたのだが、静寂とろうそくの灯りとその香りが、妙に安らぎを与えてくれた
のだった。平常な暮らしに戻っても、1日30分くらいこんな時間を持てたらいい。
ある面で、自分の生活や、生き方を見直す機会を与えてくれている地震でもある。

 今回の地震の被災地・宮古市北部の田老地区(旧・田老町)に大学時代のフォー
ク研究会の友人O君が住んでいる。田老は,10メートルの防潮堤があることで知ら
れた地で、彼を訪ね2度遊びに行ったことがある。テレビ報道で壊滅した田老の様子
が映り愕然となる。 防潮堤を4メートルも上回る津波に町全部が呑み込まれたという。

 O君とは学生時代、よく下宿を行き来し、朝まで酒を飲み、歌や人生を語り合った。
フォークシンガー友川カズキさんを紹介してくれたのも彼だった。大学の講堂で、
「二つの青春の詩」というコンサートも開いた。その時歌った歌を、今日はコタンで歌った。
 O君、大丈夫? 元気でいるかい?


                  哀しき青春譜
                                  作詩・作曲 藤本すすむ

           何かやらなくては 心の糧となる何かを
           そんな思いをよそに 体はいつも寝返りを打つ

           誰か愛したいな 一人だけずっと想って
           一人きりに慣れてしまい 孤独をただの友とする

             明日を待つ 明日を待つ そんな日々が続くなら
             ギターよ力を与えて 自分に負けない力を


           鳥が空を飛ぶ 花が野辺に香る
           みんなみな生きてる姿 僕はどうして生きようか

           時は意地悪ばかり 素敵な季節を装い
           いつの間にやら僕らを 夢の化石へと追いやる

             明日を呼べ 明日を呼べ そして今を生きるんだ
             ギターよ力を与えて 自分に負けない力を


          何も言葉にならない 胸の内に秘めた炎
          いつか自分のこの手で 望むものをつかむまで

             明日を待つ 明日を待つ そんな日々が続くなら
             ギターよ力を与えて 自分に負けない力を
| - | 18:40 | comments(0) | trackbacks(0)
四谷コタンLIVE 3.18 アンプラグド 


 地震の影響で節電が呼びかけられていることに対応したかのように、
今日のコタンライブはアンプラグド、マイク無しの演奏となった。 
 
 共演の千葉和臣さん(海援隊)が、リハーサルをマイク無しでやってい
た。もう一人の共演者・岡宏樹さんもマイク無しで歌うことにしたというの
で、ならば私も・・・という次第である。

 マイク無しで歌うことは、実は結構慣れているのだ。2009年のトルコ・
イスタンブール、ナーズム・ヒクメット文化芸術財団小ホールでの「藤本
すすむ・ナーズムを歌う」というミニコンサートでは100人ほどの前で、マ
イク無しで歌った。2008年のトルコでも、銀座通りのように賑やかなガラ
タサライ広場、居前広場のように広いタクシム広場でマイク無しで、内臓
を振り絞るように大声を上げ歌った経験がある。この1月にも、とある会の
お誘いのこじんまりした居酒屋でマイク無しで歌ったばかりである。

 コタンは30人も入れば一杯になる店で、落語や朗読なども行われている
から、もともとマイク無しでも十分演奏できる場所である。
 口元から耳元へ直接声を届けようと、空気の振動を感じながら歌うと客席
がさらに近くにあるようだった。「伝わっているな〜!」と実感できた30分である。

 今日の出し物     1. 越後望郷
              2. オリオンの夢
              3. 晩秋鎌倉にて(詩の朗読)
              4. 哀しき青春譜
              5. 長岡花火
              6. カタクリの花
              7. LET IT BE
 
            
              LET IT BE 
                              訳詩  藤本すすむ

       絶望の淵に 突き落とされた夜でも

       穢れない明日が あなたを待つ
     
       目覚めた朝に聴く 小鳥のさえずり

       朝日は昇る 生きてる限り

           あるがままに 受け入れてしまえば
           
           それが答えさ LET IT BE

           今ここに生きている あなたと共に

           それがすべてさ LET IT BE
             
| - | 22:29 | comments(0) | trackbacks(0)
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