2011.03.27 Sunday
みちのくからの手紙 残雪の・・・
【Kさんの俳句と書】
残雪の炙り魚を目から喰ふ
青森県三戸町にお住いのKさんから手紙が届いた。達筆な万年筆の文字を
原稿用紙3枚にしたため、筆書きの俳句と俳句誌「青嶺」が添えられていた。
昨年10月のトルコのアンタルヤとマルマリスの旅でご一緒した kさんとは、
なぜか気が合い、移動の時間などちょっとした時間や、食事の時によく話した。
俳句の話や、若い頃のアメリカ放浪の話は興味深かった。
ご一緒だった奥さんは、昔話の朗読をし、卓球も青森県代表選手としてやっ
てきた人で、話が合わないはずがない。私は、何よりご夫妻のお人柄に、また
会いたい人だなと思いながら旅を楽しんでいた。
「りんごの花の咲くころ、青森に行きたいです」・・・年賀状に、そう添えた。
「三戸は残雪も多く、加えて地震に驚かされ大変なここ一週間でしたが、電気も
つき落ち着きを取り戻しました。・・・・」
三戸は内陸だから津波の被害はなかっただろうが、余震が続くなどの現状で
は、りんごの花咲く5月に三戸を訪ねるのは難しいだろうと断念していた。
「今、藤本さんの唄を聞きながら盃を持ち書いております。みちのくの春は一気
にやって来、梅・桃・プラム・さくらんぼ・りんごと咲きますが、その季節に三戸を
訪ねてください。・・・」
「越後の春は花盛り 踊る台地に風が吹 く(越後望郷)・・・を体内に浸み込ませ
ながらアルコールとカクテルし、よい気分になり
残雪の炙り魚を目から喰ふ
を作り、魚の骨をかじっております」 ・・・と手紙は続く。
宮古市田老地区に住む学生時代の友人O君の安否をずっと心配していたが、
命は無事で避難所暮らしという知らせをようやく得ることができた。しかし、お兄
さんの奥さんとお孫さんが津波に呑み込まれ亡くなったという痛々しい知らせに
言葉もない。
山形市に住む妹から「家族みんな無事」のメールが届いたが、山形新幹線は
まだ不通のままである。
国立の桜祭りも、春の卓球大会も中止になった。福島原発事故の報道に不安
感が高まり、計画停電が予定されたりでなんとなく落ち着かない日々である。
桜前線情報をテレビでは流さなくなったからか、冷たい風が吹く昨今、命芽吹
く春をまだ感じない今年の早春である。
桜遊行 春を見舞いに みちのくへ